2日目・「天水」の文字見るだけでワクワクするし

五丈原→→高速鉄道宝蘭旅客専用線→→天水南駅→→姜維墓

五丈原風景名勝区(五丈原諸葛亮廟)

五丈原の台地の上から前夜宿泊した空港大酒店を後にし、約12年ぶりとなる五丈原の訪問です。

概要はその12年前の記事をご覧いただくとして、入口前の広場で前回と大体同じアングルで撮ってみたのが左画像。工事中のようです。
手前の掘り起こされている場所、墓地だったような…。

廟内で単体展示されている顔ぶれは前回訪問時と同じでした。
群臣はここも以前と同じく武将像・文官像の区分けになっており、馬忠・張嶷は隣同士で展示されています。当サイトの取り扱い範囲的には重要なポイントです。さらに奥に張翼発見。

というわけで、今回は馬忠、張嶷も撮影。

ガラスが反射してしまうためうまく撮れないのが残念です。せっかくなので、写すのに色々と苦慮しているのが伺える画像を載せてみました。キレイに撮りたいのであれば、撮影時間帯を選ぶ必要がありそうです。

正面入口 馬忠像 張嶷像
 左画像=正面入口前に巻物が増えていました。中身はもちろん出師表
 中央画像=馬忠像
 右画像=張嶷像

以前はあった説明看板の日本語がなくなっていました。代わりにハングルが。

高速鉄道

和諧号高速鉄道、略して「高鉄」。新幹線のようなものです。車両である和諧号の見た目もかなり新幹線な雰囲気ですが、詳しくは置いておきます。

宝鶏南駅から天水南駅まで、2017年7月9日に開通した高速鉄道宝蘭旅客専用線を使います。出来て日が浅く、車両も駅もキレイです。宝鶏南駅を出発し東岔駅を通過、その次の天水南駅までなんと約45分。高鉄速い速い。

高速鉄道網の拡充で、中国国内での移動が非常に楽になってきています。天水をはじめとした甘粛省東部へのアクセスも容易になり、2017年12月には西安と成都も西成旅客専用線として直結されたばかり。西成線の全線開通によって、蜀末ツアーが大変捗るのではないでしょうか。

切符購入に実名制を導入しており、マイルドに言うと出禁扱いの人は切符を売ってもらえないとか何とか。
ですので、購入には中国人は身分証、外国人ならパスポート(の番号と氏名)が必要です。切符は名前入り。外国人は駅舎に入る際にパスポートチェックされます。

更に、改札内およびホームへの入場は、駅により多少異なりますが、概ね発車時刻の15分前〜5分前の10分間に制限されています。改札は列車単位で行われ、構内の案内表示とアナウンスで呼び出しがあります。該当列車の改札時間中には、その改札で他の列車の改札は行われません。ですので、規模の大きい駅だとホーム1面×乗り場2線ごとに改札1つが割り当てられる豪華さです。
和諧号車内は禁煙、ホームは喫煙OK。正直なところ、ホームが喫煙所と化しています。
手押しワゴンによる車内販売もあります。おやつに弁当、おつまみ、ドリンク類はもちろん缶ビールなどのアルコールも備え、ますます新幹線な雰囲気です。

と、長々と概要を語ったところで、甘粛省第2の規模を持つ天水市の新たな玄関口・天水南駅(天水市麦積区)に到着します。

天水南駅 天水南駅駅前
 左画像=天水南駅
 右画像=天水南駅駅前。駅が市街地から離れているので、栄えだすのは恐らくこれから

人生初の甘粛省上陸です。
年甲斐もなく「うふふふふ」と怪しい笑みがこぼれてきます。

姜維墓

山登り天水南駅から高速道路をかっ飛ばし、一般道に降りると細い道を分け入り山道にも突っ込み、マイクロバスが走ること約2時間、直線距離で50キロ。甘谷県の六峰鎮姜家庄村に姜維の墓があります。

ガイドさんやドライバーの方も訪れるのは初めてということで詳しい場所をご存知なく、地元の方に道を尋ねること二度三度。

場所の目星を付けてバスを降り、この先だろうと進んだ細い道は多分農作業用だと思われ、のっけから恒例の登山。次第に、足踏み外して落ちたらヤバそうな箇所もチラホラ。

道が途切れた辺りが頂上で、しばし景色を眺めます。周囲は畑しかなく、どうやら間違ったルートに入ったという結論になった頃、遥か下方になにやら舗装された細い道が見えました。あの道かも…!?

姜維の墓来た道を戻り、というより下山し、ぐるぐるとさまよって見つけた舗装された道を進んでみると、突き当りにゴミ箱が。山間の農村で使っているとも思えない佇まいのゴミ箱をとりあえず激写。

突き当りを左に曲がると見えたのは石碑。後ろにはこんもりとした塚。
目に飛び込んできたのは、石碑に記された「姜維墓」の文字。

正直、ここに来るのが最大の目的でした。はい。

姜家庄村の姜維の墓も衣冠塚となります。
墓の手前には線香の燃えカスの山もあり、この姜維の墓に村の方々が参拝に訪れていることが伺えます。ガイドさんによれば、本来は南向きに建てる墓を敢えて北向きにして、高台の姜維の墓が姜家庄村を見守る設計になっているのだとか。確かに、墓に向かって右から夕刻の薄日が差しています。

この姜家庄村は名前からも察せられる通り、姜維の生まれ故郷です。村民の方々も、姜維ゆかりの人々の子孫であります。
ガイドさんが何気なく言いました。
「姜維も喜んでいると思いますよ。遠い所、それも外国から来てくれたんですから」

四川省の姜維の墓に行ったときも思いましたが…。
ネタにして申し訳ございません…。

姜家庄村 姜維の墓
 左画像=墓のある高台からの眺望。畑の向こうに姜家庄村、遥か遠くには連なる山々が
 右画像=姜維の墓

先程のゴミ箱の近くから眼下の姜家庄村と奥に広がる黄土高原を眺め、しばし感慨に耽ります。
ふと気がつけば、麓の村まできちんと舗装された道路があるじゃないですか。

越年天水

天水呱呱姜維の墓を観光後は天水市中心部の秦州区へ行き、百姓厨房という店で夕食。
地元住民の方々で大変賑わっており、食べる前からここはおいしい店に違いないと確信した通り、天水の飯がうまい。うますぎる。特に揚げ出し豆腐が激ウマでした。天水呱呱という天水料理もありましたので写真撮影したものを貼っておきます。原料はそばだそうで、基本的には朝食で食べるものなのだとか。右上で見切れているのが激推しの揚げ出し豆腐です。

2017年から18年の年越しを天水で行うという、またしても「うふふふふ」と怪しい笑みが漏れてしまう想い出深い越年になりました。

宿泊した皇城国際飯店の部屋に備え付けてあった雑誌に開通して間もない宝蘭旅客専用線についての記事があったので、眺めることしばし。
そして客室のテーブルにはヨーグルト、その名も「天水印象」が。中国には常温保存可のヨーグルトもあるのかとパッケージを眺めると、当たり前のように「2〜6℃低温冷蔵」と注意書きが。
朝の天水市街客室係が置いて以降、常温放置だがいいのか。
客が食べなかったらこのまま何日も置かれ続けるのか。
そんな事を考えながら蓋を開け、変な臭いもないので結局食べたんですが。
一応、お腹を壊したりはしませんでした。

余談画像はヨーグルトとはまったく関係のない朝の天水市街。手前はバスターミナル。天水市のバスは赤く、季節柄彩度低めになりがちな絵面の色合いが賑やかになりました。 ガイドさんいわく、天水市は各省の2番めの規模の都市としては発展がかなり遅れている、らしい。

12年前に四川省の姜維の墓に行ったレポを読み返してみたら、その時も豆腐を食べて感動していたようです。

余談メモ。

成都に草堂のある杜甫、成都に移住する前に半年ほど天水で暮らしていたのだとか。


3日目→