番外編・捜神記にいたあの人は?の巻

とある三国志小説外伝で、孔明の死に枕に周瑜・趙公明(封神演義に出てくるあのお方)と一緒に「鍾士季」っていう神様(?)が立つそうです。私は読んでないのですが、「こういう情報いただきました」ということでメモ。

死神士季さんには感心してしまいました。何の違和感もない。私の中では、すっかり疫病神に転化してますが(笑)。

このとある小説の中で孔明が死んだとき、まだ鍾会は10歳のお子様なので、孔明の死に際に神様として名前が出てくるのは、小説の作者の小技(?)と思っていたところ(「鍾士貴」って名前の神様もいるので。病気を司る…ってことで、やっぱり疫病神系)、「捜神記」の第98話「赤い筆」に、れっきとした冥界神として「鍾士季」さんが登場してたのでした。

「捜神記」訳文から抜粋。
「天帝は、趙公明、鍾士季など三人の将軍を遣わし、それぞれ幽鬼どもを督励して、下界の人の命を奪わせる」

物語に登場するのは趙公明の参謀を務める幽鬼だけで、士季さんは名前が出てくるのみです。

生命を奪ってどうするのかといいますと、天帝の起こす戦争で兵隊として使うのです。あの世でやる戦争用ですから、うっかりスカウトされちゃうと、その人は死んでから連れてかれるってことですね。…やっぱり死神。

とはいえ、名前が出てくるだけなので、この鍾士季将軍が、鍾会がモデルなのかは分かりません。が、同じ名前で、「捜神記」が成立した時代(東晋)も考えれば、元ネタは鍾会だったとしてもおかしくはない…かも?



「捜神記」でむしろ知られているのは、鍾会の父・鍾繇が、幽霊とラブラブしちゃう話でしょうか。
もちろん美女幽霊で、鍾繇も悪い気はしなかった様子。何度も会っちゃう。やがて相手が幽霊だというのが発覚して、鍾繇は彼女を刺してしまう…というお話です。幽霊とか死神とか、不思議なものに縁のある一家なのですね(←?)。
そして、この「鍾繇の幽霊話」は正史の鍾繇伝にも、裴松之の注で(陸氏の「異林」から引用とのこと)堂々と掲載されています。「捜神記」ならピッタリ、「世説新語」でもまあアリかな?という分野の内容なのに(笑)。

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