鍾会、曹丕に会いに行くの巻
鍾繇の子供である鍾毓と鍾会は、幼い頃からデキた子供だと有名でした。
兄の鍾毓が13歳のとき、ときの皇帝・曹丕が2人の噂を耳にして、鍾繇に、鍾毓と鍾会を連れてくるように命じます。それはなんと光栄な!ということで、鍾繇パパは2人に曹丕のところへ行くよう言いました。
さて、曹丕と対面した兄弟でしたが……相手は皇帝陛下、鍾毓は緊張のあまり汗が止まりません。顔は完全に汗ダラダラ状態。それに気がついた曹丕は、鍾毓に尋ねます。
「お前はどうしてそんなに汗をかいているのか?」
こ、皇帝陛下からお言葉がっ! 鍾毓は答えます。
「御前で身震いしてしまい、落ち着くことができずに、汗が水のように流れ出てしまっております」
13歳の子供の正直な答え……可愛いもんです。曹丕は「ふむ」と頷き、鍾毓の隣りにいる鍾会に目を向けました。ところが鍾会は汗ひとつかかず、涼しい顔をして落ち着き払った風情でした。
兄とのあまりの対比ぶりに、曹丕は尋ねずにいられません。
「お前はどうして汗をかかないのか?」
さて…鍾会はやっぱり昔から鍾会でした。彼はうやうやしく答えます。
「身震いのあまり恐れおののいてしまい、汗も遠慮して出ようとしないようです」
…この子供………。
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「言語11」より。
曹丕は225年に死去しており、鍾会が生まれたのも同じ225年。明らかに「史実じゃないだろ!」という典型ですが(こんな0歳児がいたらイヤすぎ)、鍾会は昔からこういうキャラだったのねーと納得したくなるお話。